データ分析の書記録

読んだ本の内容って忘れてしまいますよね。このブログは分析関係の読んだ本、勉強したことの記録です。

データ分析者が思う「問題解決のジレンマ」その2 〜事実と解釈〜

はじめに

前回のはなし

shinomiya-note.hatenablog.com

事実の無知と解釈の無知

前回、問題を発見するには未知の領域に目を向けなければいけないと述べました。知や未知とは何を知っていて、何を知らないこととするのでしょうか?まずそこを定義してやります。知を「事実」と「解釈」に区別します。また「解釈」には「範囲」と「次元」があるとします。

事実、解釈、次元

未知という領域を人に当てはめた時に「無知」ということになります。順を追って事実と解釈の無知を考えます(下図)。
f:id:shinomiya_note:20200504170546p:plain:w600

事実

事実とはだれが見ても決して不変のもの。時間や場所、個人を超えた普遍的なものです。例えば漢字の読みや歴史、天体の動き、商品価格などです。単純にこうした事実を知っている/知らないことを「事実の知/無知」とします。

解釈

事実を人は様々な角度から見て解釈します。ワイン一本4000円は「高い」と感じる人もいれば「おてごろ」と感じる人もいます。「解釈-範囲」は数値などで一定の軸から捉えた解釈の単位の大小といえます。このように人は一定の理解レベルでしか物事を捉えていません。また己の知る値段の範囲外は違いを共有することもままなりません(著者はメーターが振り切れているものは認知できない…と述べている)。ここに「範囲の無知」があります。

次元

「解釈-次元」の次元とは、「変数、視点、思考の自由度」のことで、モノの見方を一つずつに分解したものです。事実は一つですが解釈は複数ある多次元的なものと言えます。先ほどの「範囲」は「1変数または1次元の中の"範囲"」となります。つまり視点(変数)そのものに気がつかないことが「次元の無知」となります。ワインは価格だけでその価値を決めてしまって良いものでしょうか?

メタの視点

次元を増やすこととは、普段の主観的立場を超えて客観的立場で物事を観察すること(メタ的視点)に他なりません。簡単なように思えますが、そもそもビジネスにおいて自分の専門領域で「知らないことがたくさんあるということを認識できていないのでは?」というスタンスに立てるか(目を向けられるか)、「既存の視点以外のN次元を持ってこれるか」ということはとても難しい。*1
客観的立場になり無知の無知状態に自ら気づき、無知の知に変えることがなければ思考回路が起動せず問題発見につながらないため、これが問題発見の最も難しい「第0ステップ」であると筆者は述べています。

*1:そもそも未知の領域を考えるということなので